二代目大川龍昇さん主演「殺陣師段平」劇団大川@木川劇場2018/4/9
ラスト舞踊
二代目大川龍昇さん「黒田の武士」
劇団大川4月公演@木川劇場 (2018.4.9)
二代目大川龍昇さん主演 お芝居「殺陣師一代 段平の生涯」
地毛で登場の龍昇さんは、すっきり刈り上げた襟足に色気が漂う、好い男ぶりでした。
歌舞伎の大物役者に請われて殺陣をつけたこともある、ベテラン殺陣師・段平。
新国劇座長・澤田正二郎に「リアリズムのある殺陣が欲しい」と言われ、悩む。
段平の頭の中は殺陣のことばかり。わざと喧嘩を仕向けて、その喧嘩から考える。沢田のいう「リアリズムのある殺陣」を・・・
酔っぱらって周りに迷惑をかけているのだけれど、人なつこくて、どこか憎めない、こどものような男という像が、劇中から見えてくる。
段平にひたすら尽くす女房・お春が、熱い。
お春を「お師匠さん」と慕う髪結い見習いの少女・お菊が、健気。
遊びに夢中のこどものように、最期まで殺陣一筋に生きた段平に、長年旅芝居の世界で生き抜いてこられた役者さんがたは、ご自身の人生と重ねてみえる方も多いのではないだろうか。
"役者道"というゴーイングマイウェイには、良い武勇伝も悪い方の武勇伝もあるだろう。
楽しい思い出、
黙って背負っている悔恨、
失った心の穴、
破れかぶれで守り抜いた誇り…
だから「段平」は、一度は演じてみたい役の一つに挙げられるのだと思う。
"芸のためなら女房も泣かす〜♪"とは春団治の歌ですが、そのまんま段平にも当てはまる。亭主としてどやねんなヒドイい話(笑)、なのに、どうにも許して見てしまうのは、演者自身の人生が滲むから、いや、勝手に滲むように思ってしまうだけなんだけど、そう思えてならないから。
しんどそうやけど、こうと決めて一筋に貫く姿は、眩しく、羨ましい。
どうせやるなら、とことん添い遂げたったらええねんな・・
なんてことを思いながら、泣いて笑って観ていました。
握りしめてる剣ひとふりに
冴えよ こもれといいきかす
なんでつかめぬ芝居のこころ
意地が男が 段平が
そっと泣いてる 舞台裏
月もささない露地裏長屋呑んで悪態つく俺に
質屋通いも慣れたと笑う
可愛い女房の痩せた肩
胸じゃすまぬと詫びている
「殺陣師一代」
いい悪いではなく、そのひとにひととして、ひたすら寄り添う旅芝居の世界。
こうでなければとか、こうしなきゃとか、
日頃持ってる考えを全て外して観る
その舞台は、
今の時代によくぞ生き残って在ってくれたものだと、、、
足を運ぶたびに、新たな思いが湧き上がります。