風雪よよよ旅

大衆演劇 旅芝居 寄席的なものの旅

大衆演劇のお芝居 苦しくなる言葉

「女にとって嫁いだ先が死に場所だ」

大衆演劇の人情もののお芝居で、よくあるセリフ。

「またか…」

こころで思う。

聞くたびに胸が苦しくなる言葉。

こんな言葉があるばかりに、どれだけの女性たちが自由を奪われ、理不尽さに涙を流してきただろうか。

 

人情芝居の名の下に繰り広げられる、あまりにも時代錯誤としか言いようがないセリフや、今で言うところの「ドメスティック・バイオレンス」の表現を見て、お芝居でも看過できない時がある。

お芝居の根本を否定するつもりもない。

やるならそれなりの解釈が必要と、思うのだ。

 乱暴に、リアルに振る舞うだけならばそれは「演技」じゃない。

「やくざの役と兵隊の役は素人でもできる」

どなたかが言っていたが、本当だ。

「やくざの役と兵隊の役は素人でもできる」に「DVオトコ」も加えたい。

自分より弱い立場の者を叩く、蹴る…

「暴力」を演じる時ほど慎重に考えて演じるべきと思う。

 例えば歌舞伎の「殺し」の場面のような「型」としての表現や、

心理を視覚に見せるやり方があるのは、様式美だけのこととは思えない。

 

大衆演劇の客席の8割は女性。

女性3人に1人が、DV被害の経験者である。

 

百歩譲って・・・

どうか肯定しないでほしい。

受けた側や周りが抵抗するなりしてほしい。

「 昔からやってきた」で済まさないでほしい。

徐々に減らすか、表現を改めてほしい・・・と、切に願う。

 

 

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