■心に残る舞台・再掲 2015.12 舞踊 市川英儒座長(優伎座)
2015.12.19@オーエス劇場
「また君に恋してる〜アメイジング・グレイス」
こころの中の涙の海
大衆演劇舞踊でよく使われる演歌「また君に恋してる」から、一転「アメイジング・グレース」へつながる展開。女形、シンプルな着物で。
楽曲が大音量で鳴り響いているのに、その舞からは「音」が感じられないのです。注がれる光のなか、目に見えないものと踊っているようにも、見える。
また、なんと言ったらいいのだろう、けっして「泣かせる」ための舞踊ではないのに、胸が締め付けられる。涙が出そうになるのだけれど出ず、それは外にはこぼれず、胸のなかに海のように広がる。こころのなかは悲しみを含みつつも、満たされていく。。。
舞踊を観て、感動して、声が漏れたり涙が出たりと、その感動が放出することはあっても、こころのうちに溜まって満たされるように感じたのは初めてで、そんな気持ちを噛み締め観入っていました。終わって欲しくない、ほんとうにうつくしい舞踊でした。