風雪よよよ旅

大衆演劇 旅芝居 寄席的なものの旅

くつろぎのお芝居処「琵琶湖座」(大津温泉おふろcaféびわこ座)で熱と力の春陽座の舞台を観る

 

11月20日にリニューアルオープンされた大津温泉おふろcaféびわこ座
(旧:ニューびわこ健康サマーランド

 

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 消費税増税に伴い、10月以降、どの劇場でも木戸銭を値上げする中で、リニューアル前より低く設定され、さらに会員(年間200円・オープン記念期間は登録無料)になれば通常料金より100円安くなるので、お風呂に入って+コーヒー飲んで+お芝居観て+舞踊ショー観て・・・で、平日1,280円という驚きの価格。

 

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琵琶湖座の看板

 

 

夜の部の開演時間が18時半と少し遅めで、家からも行きやすいので、行ける時行っとこ〜と、利用させてもらっています。

 

11月と12月の公演劇団は澤村心座長率いる春陽座ご一行

 

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春陽座舞踊ショー

 

11月20日から12月10日までに3回、人情芝居を観ました。

いずれも大衆演劇の定番で、親と子の情愛を切々と描いた物語。歴史上の人物ではなく、名も無き百姓や渡世人が主人公です。

そんな、どちらかというと地味なお芝居を、あらん限りの力を振り絞り演じるのが春陽座、澤村心座長。

 

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澤村心座長

全身で、戸惑う、憤る、泣く、喜ぶ。絞り出すような慟哭(ヤマをあげるのとは違う)。そこから物語の人間が生身の人間として立ち上がってきて、引き込まれます。

 

座長に続いて活躍する澤村煌馬さん。
初めて観たときはまだあどけない子役だった方が、今14歳。どんな役でも、その役に求められる所作を丁寧に演じ分けてはって、驚かされます。

 

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澤村煌馬さん

 

立ち回りでの舞台袖へのはけ方とか、本当に綺麗。

この世界の役者たちが脈々とやってきたことを、身体に入れ、新しい命を吹き込まれている。並ならぬ稽古が偲ばれてならない。

 

 

ラストの、澤村心座長と澤村かなさんの相舞踊は、絵のように美しく。

 

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「お島千太郎」

舞踊でも「熱演」のご両人


 

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支配人による達筆の貼り出しも嬉しい

 

大津温泉お風呂caféびわこ座

春陽座公演は2019年12月25日まで
滋賀県大津市月輪1丁目9−18
JR瀬田駅から無料シャトルバス運行

 

 

2019年11月観劇メモ


仕事が重なり気の抜けない1ヶ月でした。
無事に終わった・・んだろうか。。
11月の感謝観劇:

  • 南條隆とスーパー兄弟@羅い舞座京橋劇場
    「それは恋」「雪化粧」
  • 里見劇団進明座・橘劇団合同公演@朝日劇場
    「渡世の義理」
  • 劇団しらさぎ あまつ祐作座長誕生日公演@初潮旅館
    「鑑屋一味の正義」
  • 春陽座@琵琶湖座こけら落とし公演
    「暴れ行燈」
  • 劇団雪月花@尼崎遊楽館
    旗揚げ5周年記念公演「芸者の意気地」ゲスト松丸家小弁太座長
  • 橘劇団@梅田呉服座
    Violinist SHOGO(ショウゴ)さんとコラボ
  • 映画「ナイトクルージング」

 

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2019.11.28夜 橘劇団@梅田呉服座 アンコール 紙吹雪が落ちてくる寸前

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2019.11.28夜 橘劇団@梅田呉服座 アンコール 紙吹雪がどっさり!


 

 

 

2019年10月観劇メモ

あっという間の1ヶ月
前半はめちゃしんどくてどうしようと思いましたが、最後はなんとか立ってておれた、、ありがとうございます 振り返ると先月より劇場へ行けてた! 嬉しい~

  • 桐龍座恋川劇団@朝日劇場
    多摩川しぶき」「森の石松」「酒の詩 男の歌」
    ハロウィンショー
  • ポエトリースラムジャパン大阪大会@LONG A LONG
    ゲスト赤ちゃん婆ちゃん
  • 劇団荒城@浅草木馬館 真吾一座千龝楽 昼夜でお芝居4本
    「桜餅」「清水次郎長」「三下剣法」「暖簾をくぐれば」
  • 宝海劇団@オーエス劇場
    「呪いの峠」「玉菊灯籠」「人情深川流し」「吹きだまり」
  • 戟党市川富美男一座@木川劇場
    潮田又之丞 元禄槍供養」
  • 劇団紫吹・あがりゃんせ劇場コラボ
    木村勉会長リサイタル
  • 見海堂劇団@明石ほんまち三白館
    見海堂真之介総座長襲名7周年記念公演
    国定忠治 風に向かう者へ」
    夜の千龝楽スペシャルショー
  • 劇団菊太郎@羅い舞座京橋劇場 菊リンピック
    「お里沢市」「花笠文治」
  • 劇団天華@羅い舞座堺東店 千夜祭り
    「紅かんざしのおしん
  • 宝塚歌劇団月組公演「I am from Arstria 故郷は甘き調べ」@宝塚大劇場

 

 

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毎日 宙を舞う宝海大空座長 @オーエス劇場

 

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源義経絵巻物」からのメドレー 宝海劇団

 

源義経絵巻物」がめちゃくちゃ楽しかった

座長の後ろでメンバーが入れ替わり立ち替わり出てきて消えてゆくのですが、インベーダーゲームのような面白さ。合戦の表現をこんな風に舞踊で見せられるってすごい!

 

 

 

2019年09月観劇メモ

色々重なり時間がない1ヶ月で、お世話になっている東京在住の方が、10年ぶり(もっとかも)に関西の劇場に来られるというのに、会いに行けずじまいでした。

  • 長谷川劇団@朝日劇場
    「女ねずみ小僧」・京未来長谷川一馬花形襲名披露特別公演
  • 公開講座猿之助歌舞伎 創造と創造」@京都造形芸術大学 春秋座
  • 都若丸劇団@梅田呉服座 都清華さん誕生日公演「へちまの花」
  • 劇団九州男@箕面劇場「お伊勢帰り」
  • 新派公演@松竹座「黒蜥蜴」「家族はつらいよ」
  • 小林劇団@がんこ座「松五郎懺悔」「明日渡り鳥」
  • 花組むらさき@鈴成り座「お銀片割れ月夜」

 

大きな古時計(おじいさんの時計)三代目小林隆次郎座長

大きな古時計(おじいさんの時計)三代目小林隆次郎座長

今月初めに父が亡くなりました。この曲でお面をつけて踊られることが多いのですが、この日、思いました。これは死出の旅の顔なのかもしれないと。


 

小林劇団 小林真弓リーダー

小林劇団 小林真弓リーダー

リーダーの歌!もう興奮。素晴らしい・・・

 

小林劇団 二代目小林隆次郎太夫元

小林劇団 二代目小林隆次郎太夫

太夫元、舞踊もお芝居も力強い。

 

 

 

大衆演劇のお芝居 苦しくなる言葉

「女にとって嫁いだ先が死に場所だ」

大衆演劇の人情もののお芝居で、よくあるセリフ。

「またか…」

こころで思う。

聞くたびに胸が苦しくなる言葉。

こんな言葉があるばかりに、どれだけの女性たちが自由を奪われ、理不尽さに涙を流してきただろうか。

 

人情芝居の名の下に繰り広げられる、あまりにも時代錯誤としか言いようがないセリフや、今で言うところの「ドメスティック・バイオレンス」の表現を見て、お芝居でも看過できない時がある。

お芝居の根本を否定するつもりもない。

やるならそれなりの解釈が必要と、思うのだ。

 乱暴に、リアルに振る舞うだけならばそれは「演技」じゃない。

「やくざの役と兵隊の役は素人でもできる」

どなたかが言っていたが、本当だ。

「やくざの役と兵隊の役は素人でもできる」に「DVオトコ」も加えたい。

自分より弱い立場の者を叩く、蹴る…

「暴力」を演じる時ほど慎重に考えて演じるべきと思う。

 例えば歌舞伎の「殺し」の場面のような「型」としての表現や、

心理を視覚に見せるやり方があるのは、様式美だけのこととは思えない。

 

大衆演劇の客席の8割は女性。

女性3人に1人が、DV被害の経験者である。

 

百歩譲って・・・

どうか肯定しないでほしい。

受けた側や周りが抵抗するなりしてほしい。

「 昔からやってきた」で済まさないでほしい。

徐々に減らすか、表現を改めてほしい・・・と、切に願う。

 

 

大衆演劇のお芝居 身体からの言葉 2019年8月

大衆演劇のお芝居の何がすごいか。

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「役者の身体にお芝居が入っている」ところ。

先日「男人情花」というお外題を、見ている時に思った。

この日は2人のベテランが頑張る日だった。

何度も観たことのあるお芝居なので、はじめは「これかぁ…」と実は。

しかし、すごかった。

芝居が熱い。厚い&アツい。

ベテラン2人が、互いの面子をかけて演じる、

身体から振り絞るようなセリフ、「情」の表現が。

 

よくあるパターンの、やくざ渡世の義理と人情を描いたもの。

特別に凝った言い回しもなく、おなじみのセリフが続くのだけど、

2人のベテランの身体から絞り出される言葉は、まるで別ものである。

聞いていると、あったまった鍋になったみたいに身体がカッカしてきた。

序幕は様子伺いな感があったけれど、中盤あたりから勢いづき、水かさを増した川の流れのように進んでいく。 

「わたしとこの子を連れて逃げておくれ。たとえ3日、いや、2日、1日、半日でもいい。親子3人、川という字で寝てみたい」


望まぬ結婚で、女にとっては地獄の日々だった。だからもう死ぬつもりで、最後の願いを真に愛する男にぶつけた。

男はようやく「義理」より「情」を選ぶ。

すぐに追っ手がかかる。筆頭には男の弟分。

弟分も「義理」と「情」の板挟み。

 「えい!」


互いに刀を振りかざしては、止め。振りかざしては、また止める。

振り下ろされた刀は、2人の男の間に入った女の身体を貫いた…


「お吉(女の名)を一人で行かせるわけにはいけねえ」


弟分に向けていた刀を、自らの腹へと返し、突き刺した男は、

最後の力を振り絞って、刀を捨て、手ぬぐいを取り出し、女の亡骸についた血を拭って、愛おしそうに見つめ、、絶命する。。。

 

******** 

 

 終演後、今日のこのお芝居、セリフ合わせなしで上演されたと言うのでびっくりした。

「昔めちゃめちゃ怒られながらやってたんでね。やってる間にもどんどん思い出すし」と、弟役の座長。

ひええ。稽古なしであの舞台だったとは…

主役の役者さんも「もう必死やったし」と笑う。

若座長が、彼にとって父と父の先輩の芝居を舞台袖から見て「いつもと違うやり方で勉強になった、思わず泣いてしまった」と明かしていた。

 

ここから先はわたしの読みですが、、、

最後に男が女の身体を拭ったのは、アドリブだったのではないだろうか。

演じているうちに自然にそうした、そんな気がした。

そしてもう1つ。

息絶えた2人を前に、呆然とする弟分の、行動。

着ていた羽織を兄貴分である男にかけようとしたが手を止めて、女の方にかけてやる

どちらも今回でなくても、何度かやるうちに、そうしようとなったのではないだろうか・・・

そんな気がする。

「誰も悪くねえ。バカなやくざ渡世がお吉をこんな姿にしたんだ…」

演じているうちに、出てくる心の言葉。

これが、大衆演劇のお芝居の領分たらしめるところではないだろうか。

セリフは舞台の上で生まれる。 

 

2019年08月観劇記録

8月はきつかった。精神的にかなり参ることがありました。
忙しくて行こうと思っていた劇場に行けず終いに。
月末にやっと気持ちを取り戻せました。
「出来ぬ堪忍するが誠の堪忍ぞ」

 

  • 南條隆とスーパー兄弟@梅田呉服座
    悪の華エピソード0」
    龍美麗総座長誕生日公演「泣いた青鬼」・「花と龍」
  • Bye My Barrier@Kyoto Metro(赤ちゃん婆ちゃん出演)
  • 劇団大川@オーエス劇場 ゲスト沢田ひろしさん「雪化粧」
    「故郷の兄」
  • 嵐山瞳太郎劇団@明生座「信州一羽鴉」
  • うらたじゅんさんお別れ会@かぜのね
  • 藤間劇団@九条笑楽座
    「鯉名の銀平」
    光明亮太郎祭り「素浪人」・新導あき祭り「羽衣情話」
  • 劇団桃華@あがりゃんせ劇場「島帰りの男」
  • 劇団鯱@鈴成り座 陽之介&政次祭り「男人情花」
  • 講演会「日本少女歌劇座の35年」@やまと郡山城ホール
  • ハニカミ!+@日本橋 Pollux Thesater「海りぼっち」

 

 

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