風雪よよよ旅

大衆演劇 旅芝居 寄席的なものの旅

2019年振り返り・大衆演劇舞踊編8つ

 

4月 島崎寿恵総座長「MAMA...」@ユーユーカイカ

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島崎寿恵総座長

用心棒という男性トリオが歌う、スナックのママに恋をする男の純情。コミカルだけど哀愁漂う歌詞と、コワモテの男が踊る仕草に、笑って笑って泣かされる。

島崎寿恵総座長は、男(立ち役)として踊っているのだけど、なんかもうとんでもなく色っぽいのだ。わたしも周りのお客さんもみんなぼうっとなって見入っていた。

*曲は以下のページから聴けます:

miyearnzzlabo.com

 

4月 劇団あやめ 咲之阿国さん「獅子」@九条笑楽座

踊る曲のイメージを意図したメイクに、こころが躍る。一目で曲の世界に連れて行ってもらえる。咲之阿国さんの化粧は古典舞踊の雰囲気を踏まえつつ、必ずどこかしら攻めていて、格好いい。

神楽を舞う巫女さんのように、表情を一定に保って厳粛に。流れるようだけど実はすごく複雑な舞踊のような。手獅子を操る様は、生き物をなだめあやしているようにも見えた。

(曲のタイトルは「獅子」と言っておられたと思うのですが、違うかもしれずですみません。)

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咲之阿国さん

(写真は別の日のお見送りのもの)

 

4月 劇団あやめ 姫猿之助座長「神田松五郎」@九条笑楽座

聞いたことのない浪曲?講談のようだった。控えた歌詞で検索したら「神田松五郎」という講談があった。火消しだった親が亡くなり孤児になってしまった男の子。その子を引き取る夫婦との会話劇を、舞踊で。男の子の台詞がめちゃめちゃ可愛らしい。親を亡くした男の子と、こどものいない夫婦。それぞれの思いを、演じる。舞踊というよりお芝居だった。座長のレパートリーの多さに驚かさせっぱなし。。

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猿之助座長(写真は別の日のお見送り時撮影)

 

6月 橘劇団 大五郎名作七変化パート3@篠原演芸場

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大五郎名作七変化パート3より「新出令楽」

舞台が大きな紙芝居になった!7つの物語が次から次へと表れる。超大作。観終わった後すぐにもう1回観たい!と思ってしまった。ラストの「夏祭浪花鑑」が圧巻だったのだけど、めちゃめちゃ好きなのは「新出令楽(シンデレラ)」。ネタバレになっては申し訳ないので控えます・・・ああもう1回観たい(笑)。

 

 

6月 劇団寿「翔聖まつり」@此花演劇館

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寿翔聖座長

寿翔聖座長自身が「祭り」と銘打つのはこれが初めてとのこと。絶対行かねばと思って夜の部、遅刻しながら滑り込んだら、舞台はミニショーの途中で、座長が「黒猫」というイケイケの曲を、半ば照れながら踊っているところだった。

二枚目なのにどうも「ニの線」が保てないお人柄。若座長や福丸さんからのプレゼントという着物を着て踊る時、本当に嬉しそうだった。"赤フン"もいつも以上に気合い入りで、客椅子の肘に仁王立ち。お客さんもいつも以上に盛り上げられて。「ああ、今ここには愛しかない…」そんな言葉がよぎる。笑いながらなんか泣いてしまった。

 

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寿翔聖座長

 

 

7月 樋口勝次朗さん「関の弥太っぺ」@篠原演芸場

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樋口勝次朗さん

縞の合羽に小ぶりの三度笠である。問答無用。劇場内の時が巻き戻ってゆく。

 

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樋口勝次朗さん

 

 

11月 宝海劇団 群舞「源義経絵巻物」@オーエス劇場

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宝海劇団

舞踊ショーの構成には、劇団ごとに一定のセオリーがある。わかってくると例えば「次は座長の女形で、その次は○○さんだな」など、予測しながら観るのが楽しい。

宝海劇団の舞踊ショーの構成も実に気持ちよい流れで、特に座長の個人舞踊から群舞に繋がるところは「来たぞ来たぞ」とワクワクする。

初めて聞く浪曲で、歌詞から調べて「源義経絵巻物」と推察。始めに義経(座長)が出てきて、途中から合戦のくだりになるところで、群舞になるのだけど、平家の兵士たちが舞台下手に引っ込んだと思うと、再び舞台上手から、順番にヒューンヒューンと出てくる。まるで扇を持ったインベーダーゲーム(古い^^;)。こんな風に合戦の様子を表現できるなんてと驚いた。また観たい舞踊。

 

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宝海大空座長

 

12月 劇団朱雀 早乙女太一座長「愛のかたまり〜DEEP KISS」@ぎふ葵劇場

早乙女太一二代目座長は、肩あたりの骨格が美しい。

夜の部の最終日。客席をもっと熱くさせるために飛び降り、扇をかざし、煽る煽る。顔じゅう滝のような汗。スピードが上がる。どこまで動くのだろう?どこまで飛ぶのだろう?予測できない。激しいながらも一点睨んだ眼は冴えてクールだ。リミッターを外しながらも、ギリギリのところでコントロールしているのではないか。だから暴走でなく、どこまでも美しい。フィギュアスケーターのように。

動きは、映像でも確認することができるけれど、劇場の熱気や、客席と演者とで作られた空気(信頼感?)は、その場に居ないと絶対にわからない。そして、そんな空気や熱量こそがキモで、大衆演劇の根幹であり、大衆演劇と他の舞台芸能とのハイブリッドである早乙女太一さんの最も強いところだと思った。

楽日は150%の客入りとネット情報。これも1日1日の積み重ねの賜物と想像する。2週間かけてあっためられた劇場は、混雑しても終始良い雰囲気が保たれて、居心地がよかった。

最後列まで飛ばしてくれた大入りティッシュ。嬉^^

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劇団朱雀のティッシュと当日券

 

 

 

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