風雪よよよ旅

大衆演劇 旅芝居 寄席的なものの旅

2019年振り返り・お笑い編

お笑いはロックだ

 

1月 吉本新喜劇「すち子の、大豪邸!サスパンツ劇場」@なんばグランド花月 座長:すっちー

新人メイドのすち子。豪邸に住む靖子は亡き夫からもらった大事な下着が亡くなったことに気づく!犯人を捜す為にすち子が心当たりのある人に事情聴取をとるが、、、果たしてその犯人は見つかるのだろうか!?
吉本新喜劇のサイトより)


1幕1景、50分くらいのお芝居。
まさか新喜劇で泣かされるとは思わなかった。 わたしだけではなく、周りからもすすり泣きが聞こえてきた。

パンツ泥棒を探すというお笑い劇なのだけど、展開が巧妙で、なんども曇天返しがある。「幽霊」が出てきたところでオチがわかったけど、それまで全然わからなかった。
最後の豪邸の未亡人役の高橋靖子さんのセリフがよかったなあ。


吉本新喜劇は、新作でもザ・昭和な世界。 舞台設定、着ている服、お金持ちの家、お抱えの運転手、庭師、刑事など、全てが昭和テイスト。 現代感はスマホを持っているところくらいだろうか。もはや時代劇枠。

すっちーネタの「乳首ドリルすな」が、すごい人気で、大衆演劇でもよく真似をされているのだけど、これってそんなに面白いかな?「日課」の飴ちゃんバラマキは楽しいな。

 

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2月 NSC大ライブOSAKA@大阪国際交流センター大ホール

よしもとのNSCスクール41期卒業生129組のなかで「誰が一番面白いか」を競うというもので、13時から始まって終わったのが20時過ぎてたから…なんと7時間。ひえ〜。でもめっちゃ面白かった。。

普段どこにいてはるの?というような、変な人しか出てこない(褒めてます^^;)かつての芸大生(S華大とか…笑)ってこんな感じやったよな〜と感慨深いでした。

優勝はラグビー芸人しんやさん。舞台袖の気配だけでもう笑いがこみ上げてしまって、大盛り上がり。「今日のラッキーボーイ」と審査員の方が言われて、まさに!だった。ネタの面白さはもちろんだけど、今日の「風」は彼に向かって吹いていた。


M-1優勝に重要なのはタイミング」とナイツの塙さんがインタビューで言ってはったけど、ほんとにそう。チャンスという「風(波?)」が来たらそれにしっかり乗れるかどうかで、明暗が分かれる。今年は自分ごとも含め、実感する。

 

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2月 R-1ぐらんぷり準決勝@なんばグランド花月

笑ったというか、泣いた。5分間のコントという枠の中で、これでもかと見せられる強烈な人間ドラマの数々。劇場という閉じた空間だから見せられる芸の数々。

全部面白かったけれど、小道具好きなので、クロスバー直撃前野悠介さんのバカバカしい小道具の数々には、お腹のかわがよじれるくらい笑った。「ハンドルを回すごとに1回腹をどつかれるマシーン」とか、もうわけらからん。笑。

沁みたのは、マツモトクラブさんの「よっちゃんラーメン」。バイトの女の子に密かに恋するラーメン屋の店長。恋の相談をラジオに投稿したところ…。今回は5分だけど、もっと長いバージョンがあるらしく、良いらしい。観たいなあ。

 

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R-1グランプリで配られた手提げ袋。お客さんが帰り道にこれを持って歩くことで番宣に

 

 

3月 カゲヤマ単独ライブ「ビッグトラブル」@渋谷∞ホール

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まずは初めての♾ホールにノックアウト。かかかかっこいい。現代の寄席小屋。

「カゲヤマ」というお笑いコンビの存在が知ったのは、とあるネットの番組での1本のコントだった。まだあまり知られていないようで、中継会場の客席も「だれ?」というような反応だった。高校サッカーの強豪校と無名校が試合するというコントで、めちゃ面白い。大ウケで、最後には拍手喝采に。ネットでコンビの活動を調べたら、ちょうど3月に単独ライブが!早速チケットを取って観に行った。大衆演劇以外で「遠征」をするのはこれが初めてだった。


芸人さんにとって「単独ライブ」が出来ることは1つの登竜門で、栄誉なこと。反面、自分たちでもチケットを売らなければならない。舞台を考えて営業もやって、って、どんだけ大変なことだろう。お客さんは100人くらいだっただろうか。関係者も多かったように見受けた。

ライブスタート。途中映像作品があったり、どれも面白くて、そこはかとない哀愁もあって。

一番こころに残った(泣けた)のは、冴えない男女のカップルのコント。ヘンテコなデートの最後で、男がターレーに乗ってプロポーズする。「わたしなんかでいいの?」女の言葉に、男は無言でターレーでくるくる、女の周りを嬉しそうにまわるのだ。ターレーはもちろん手作りの小道具で、そこに思わぬ仕掛けがあって。泣けたなあ。もう1回観たい。最後のコントも驚きの、ちょっとブラックなネタ(上の写真をよーく見ると…)。

終演後のトークで明かされた裏話。リハ中にセグウェイが壊れて、開演前にヨドバシに買いに走ったそう。値段を聞いたら、、あ、赤字やん・・・それでも絶対にやろうと決めたからと。たまらんなあ。お笑いはロックだ。「カゲヤマ」はロックだ。

 

 

 

12月 吉本新喜劇「思い出の彼はいずこへ!?」@なんばグランド花月 座長:酒井藍

土産屋の藍五郎。離れ離れになっていた同級生が突然帰ってくる。しかし人が変わってしまっていた。なぜそうなってしまったのか?そして突然帰ってきた理由とは一体・・・!?
吉本新喜劇のサイトより)

 

回想シーンを挟むのが面白くて、新喜劇にこんな演出もあるんやとびっくりした。キッカケで照明が落ちて、ベンチの2人が入れ替わる…が何度か続いて、照明がつくたびに客席が湧く。

大詰め、麻薬の運び屋の現行犯で捕まってしまう男が、昔みんなで撮った写真を大切に持っているとわかったところで、一気にほろっとさせる。 わたしもうるっとなったけど、周りからはすすり泣く声が。
・・・で、S竹であればこのままハッピーエンドにするところだけど、そうは問屋が卸さないのが吉本新喜劇。イイネ!

 

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